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補助者なし目視外飛行の経路設定で、DID等の上空を通す場合の取扱いを明確化。国交省が審査要領を改正

ドロマップの案内画像。「補助者なし目視外で、DID等の上空を通す場合の扱いを明確化」という見出しと、カテゴリーII審査要領が9月29日に改正されたことを示す説明
補助者を配置しない目視外飛行で、やむを得ずDID等の上空を飛行経路とする場合の取扱いが、カテゴリーII飛行の審査要領の改正(2026年9月29日)で明確化されました。

国土交通省航空局は2026年9月29日、「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーⅡ飛行)」を改正し、同日から施行しました。補助者を配置しない目視外飛行の飛行経路について、やむを得ず「人又は家屋の密集している地域」(人口集中地区(DID)等を基に指定された地域)の上空を経路として設定する場合の取扱いを明確化するための改正です。あわせて「無人航空機(ドローン、ラジコン機等)の安全な飛行のためのガイドライン」と「レベル3.5飛行事例集」も更新されました。この記事では、改正された文言と事例集の内容を、原文に沿って整理します。

1変わったのは審査要領5-4(3)c)ア)の文言

審査要領の5-4は目視外飛行を行う場合の基準で、(3)c)は補助者を配置せずに飛行させる場合の基準です。そのうちア)が飛行経路の設定に関する項目です。ア)はまず「飛行経路には第三者が存在する可能性が低い場所※を設定すること」と定め、※の場所として「山、海水域、河川・湖沼、森林、農用地、ゴルフ場又はこれらに類するもの」を挙げています。この原則は改正後も変わっていません。

改正されたのは、その例外として認められる飛行の範囲の書き方です。

改正前(2025年3月時点の公開版で確認) ……及び人又は家屋の密集している地域以外の家屋上空における離着陸時等の一時的な飛行に限り可能とする。
改正後(令和8年9月29日最終改正版) ……及び家屋上空における一時的な飛行に限り可能とする。
また、やむを得ず人又は家屋の密集している地域の上空を飛行経路として設定する場合には、第三者及び物件への危害を防ぐための十分な安全確保措置を講じること。

文言の上では、①家屋上空の一時的な飛行について付いていた「人又は家屋の密集している地域以外の」という限定と「離着陸時等の」という例示が削られ、②密集地域の上空をやむを得ず経路にする場合に講じるべき措置を定めた一文が加わりました。幹線道路・鉄道等を横断する飛行に関する前半の部分は、改正前後で同じです。

上の比較では、改正で削られた語句を取り消し線、加わった一文を色付きで示しています(表示は編集部によるものです)。

2国交省の説明は「取扱いの明確化」

国交省のお知らせは、改正の趣旨を「補助者を配置しない目視外飛行における飛行経路の設定について、やむを得ず人又は家屋の密集している地域上空を飛行経路として設定する場合の取扱いを明確化するため」と説明しています。

読むうえで押さえておきたい点が3つあります。

1つ目は、対象がレベル3.5飛行に限られないことです。改正箇所は、補助者を配置しない目視外飛行の経路設定全般にかかる基準です。

2つ目は、「第三者が存在する可能性が低い場所を設定する」という原則と、「やむを得ない場合」という条件は残っていることです。密集地域の上空を経路にすることが原則になったわけではありません。

3つ目は、「十分な安全確保措置」の具体的な中身が、審査要領の当該箇所には書かれていないことです。どのような措置が十分とされるかは、個別の申請や事前相談の中で判断されるものと考えられます(編集部の推測です)。

なお、DIDなど人又は家屋の密集している地域の上空での飛行には、従来どおり航空法に基づく国土交通大臣の許可が必要です。

3事例集に掲載された2つのレベル3.5飛行

同時に更新された「レベル3.5飛行事例集」(令和8年9月、国土交通省航空局)には、2つの事例が掲載されています。

事例1:物資輸送

株式会社NEXT DELIVERY(和歌山県和歌山市)

宇都宮病院(DID内)から道の駅 四季の郷公園まで片道約4.3kmを、ACSL製AirTruckで飛行し、都市部から山間部へのお弁当配送を実証しました。事例集によると、離着陸地点の病院がDID内にあったため、DID内でも第三者が少ない場所を確認して飛行ルートを設計し、離着陸地点で第三者立入防止の安全措置を講じることで、「日本初となる『DIDを含むレベル3.5飛行』を実現した」とされています。

安全確保体制としては、RESAS(地域経済分析システム)を活用した机上確認と現地調査による人流調査を踏まえたルート設計と、事前の住民周知等による第三者立入防止の措置が挙げられています。運航者のコメントでは、机上の人流調査で懸念点となる道路・通路等を確認してから現地調査に臨むこと、DID内の離着陸地点に監視・警告機能を備えた設備を設置して立入管理措置を徹底することが紹介されています。

事例2:送電線の点検

グリッドスカイウェイ有限責任事業組合(群馬県みどり市)

DJI製Matrice 350 RTKを使い、レベル3.5の目視外飛行と、送電線上空に事前設定した航路プラットフォームによる自動飛行を組み合わせることで、数km/回の連続点検が可能になったとされています。

安全確保体制には、周辺環境や障害物状況を確認したうえでの航路設定、機体カメラによる飛行経路周辺の監視、LTE通信が不安定な場合に備えた体制、異常時の中止判断や対応手順の事前整理が挙げられています。

事例集の各事例と審査要領の改正箇所との対応関係は、資料上は示されていません。

4ルートを考える前に、地図で位置関係を確認

補助者を配置しない目視外飛行のルートを検討する段階では、経路がDIDにかかるかどうかに加えて、横断することになる鉄道・道路や、近くを通る送電線との位置関係を把握しておくことが出発点になります。審査要領でも、立入管理区画に道路、鉄道、船舶航路、家屋等、第三者が存在する可能性を排除できない場所が含まれる場合には、追加の第三者の立入管理方法を講じることが求められています。

ドロマップの地図では、DIDを色分けして表示し、「レイヤー」ボタン(スマートフォンでは画面の「地図ツール」の中にあります)の「陸の制限(航空法・飛行禁止法)」グループで、鉄道・高速道路・送電線を重ねて表示できます。離着陸地点や経由地点の候補をタップすると、その地点がDIDに当たるかどうかや、鉄道・高速道路・送電線の近くであることの注意が判定結果カードに表示されます。ドロマップは経路の線そのものを判定する機能ではないため、ルート上の要所を複数タップして確認してください。PC版では判定カードを最大4枚まで並べて比較できます。

判定結果は参考情報です。実際の飛行前にはDIPS 2.0など公式の情報で必ずご確認ください。目視外飛行の許可・承認の要否や申請内容については、国土交通省の資料と申請窓口でご確認ください。


出典

改正前の文言は、同じURLで2025年3月25日に公開されていた版(Internet Archive保存分)で確認しています。